川湯温泉で迎えた朝。
まさに熊野の神聖さを感じる朝です。 朝もやの向こうに見える桜は幻想的で、ゆったりともやの中を流れる川は、時間という概念を表出させています。
行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
何百年も昔から人の営みが続けられ、そして今、ここに私がいる。
山はそれをずっとただ黙って見つめてきた。
うーん、なんだか朝からいろいろ思索のときを持ててしあわせです。
と、思索の時間は終了し、朝風呂にはいって、たっぷり朝食をとり、
8時過ぎにはチェックアウト。
本日は楽しい川くだりがまっています。
昔は本宮から速玉大社まで巡礼をする貴族たちは川を下っていったそうで、
私たち平民も今日それを体験するのです。
まあ、優雅ですね。山に囲まれ、ゆったりと流れる川を下っていくのは!
それになんとラクチンでしょう!
そして、着いた速玉大社(新宮)。結構派手!
次は最後の大社、那智大社へ向います。
それがこの川くだりでのんびりしちゃったから、もうスケジュールが押せ押せになって
大変でした。
まずはバスに乗って那智駅まで。
ここから歩くつもりが、帰りの電車のアクセスが悪いため、そう時間もないことに気づき、
あわててタクシーで大社の入り口である大門坂へ行くことにしました。
すると、駅にひとり巡礼のいでたちの外人の女性がやはり大門坂行きのバスを
まっているじゃありませんか。
優しい日本人の私たちは、同乗してもらいました。
車中で話を聞くと、彼女は熊野古道ではなく、西国33ヶ所札所の巡礼をしていて、
今回が8回目。
なんでも十年前、日本で生活していたときにガンになって一度は命をあきらめたものの
完治したのだそうです。
そのお礼参りとして33札所巡礼を33回するつもりなのだそうです!!
それも先達者のパスまで持っているんですよ。
私もいい気になって、映画のヒットのお礼で熊野三大社を廻っているという話を喜んで
披露してしまいました。
車を降りてから、助手席に座っていたメンバーが、
「なんだよ。俺たちのことを、私のお供の助さん、角さんですって言っただろう」だって。
まあ、彼女は今度巡礼についての本を書くらしいから、それが本当かどうか、
本を見てのお楽しみにね。
もちろん、私たちが登場すればの話しですが。